コナン・ドイル『失われた世界』
ドイルの描写は要約的である。映像がイメージしづらいが、だからといってそれで困るわけでもなく、プロット理解に必要な情報は適宜摂取できるようになっている。主題に関する博物的な微細さという点でやや弱みがある。チャレンジャー教授の性格造形はホームズに似ていなくもない。博学で自信過剰だが褒められるとすぐ調子づき、手玉にとられる。現代世界に時代に取り残された恐竜がいるという話だが、後半の山場はそれとは別にある。『十五少年漂流記』『蝿の王』のように、島もののクライマックスは乱戦になりがちなのかもしれない。