フィリップ・K・ディック『ジャック・イジドアの告白』
ディックは問答無用に惹かれる。ある人物が死ぬ場面はいちばん盛り上がるところで、なぜそんなことが起こるのかわかるようでさっぱりわからないのだが、出来事とエモーションが渾然一体として起こってしまう。この渾然一体となっている感じが、小説を読んでいて熱に浮かされているように押し流されるあの感じ、とにかくただ読んでいるという感じなのだ。あの感覚は小説にしかないものかもしれない。
ディックは問答無用に惹かれる。ある人物が死ぬ場面はいちばん盛り上がるところで、なぜそんなことが起こるのかわかるようでさっぱりわからないのだが、出来事とエモーションが渾然一体として起こってしまう。この渾然一体となっている感じが、小説を読んでいて熱に浮かされているように押し流されるあの感じ、とにかくただ読んでいるという感じなのだ。あの感覚は小説にしかないものかもしれない。