馬上の二人

読書記録。ネタバレ有り。

小池滋『ゴシック小説をよむ』

ゴシック小説をよむ (岩波セミナーブックス (78))

ゴシック小説をよむ (岩波セミナーブックス (78))

 

  あっさり読めるアンチョコ。ピクチャレスクの起源などがわかる。ホレス・ウォルポールだけが変人だったのではなく、当時のイギリス社会にゴシック建築へと至る廃墟趣味や崇高の魅力に関する文化的素地があったのだと。「グランドツアー」がそれを準備したのだと書かれている。想像以上にゴシック小説とミステリーの関連は深そうである……ということは、ウォルポールの『オトラントの城』がジョン・ディクスン・カーのようなスラップスティックな面白さに満ちていたときに思った。もちろん、エドガー・アラン・ポーもゴシックとミステリーを架橋する重要人物だろう。

 

 冒頭にある「ゴシック小説関連年表」から、文献出版に関する出来事のみ、邦訳のあるものを抜粋・要約して転載する。著作権的にはまったくよくないのだろうけれども、学びのほうが大事だと思う。

 

 1757年 エドマンド・バーク『崇高と美についての英国人の観念の起源に対する哲学的考察』

崇高と美の観念の起原 (みすずライブラリー)

崇高と美の観念の起原 (みすずライブラリー)

 

 

 1764年 ホレス・ウォルポール『オトラント城』

オトラントの城 (ゴシック叢書)

オトラントの城 (ゴシック叢書)

 

 

 1777年 クレアラ・リーヴ『美徳の戦士』(翌年、『イギリスの老男爵』に改題)

イギリスの老男爵 (1982年) (ゴシック叢書〈21〉)

イギリスの老男爵 (1982年) (ゴシック叢書〈21〉)

 

 

 1786年 ウィリアム・ベックフォード『ヴァテック』

新編バベルの図書館〈3〉イギリス編(2)

新編バベルの図書館〈3〉イギリス編(2)

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 国書刊行会
  • 発売日: 2013/04/01
  • メディア: 単行本
 

 

 1791年 サド公爵『ジュスティーヌ、あるいは美徳の不幸』

新ジュスティーヌ (河出文庫)

新ジュスティーヌ (河出文庫)

 

 

 1794年 ウィリアム・ゴドウィン『あるがままの現実、あるいはケイレブ・ウィリアムズの冒険』(同年、アン・ラドクリフが『ユードルフォの謎』を書くが、ちゃんとした邦訳がないようである)

ケイレブ・ウィリアムズ (白水Uブックス)

ケイレブ・ウィリアムズ (白水Uブックス)

 

 

 1796年 マシュー・グレゴリー・ルイス『アンブロージオ、あるいは修道士』

マンク

マンク

 

 

 1797年 アン・ラドクリッフ『イタリア人』

 サド公爵『ジュリエット物語、あるいは悪徳の栄え

イタリアの惨劇 1 (ゴシック叢書)

イタリアの惨劇 1 (ゴシック叢書)

 
イタリアの惨劇 2 (ゴシック叢書)

イタリアの惨劇 2 (ゴシック叢書)

 
悪徳の栄え〈上〉 (河出文庫)

悪徳の栄え〈上〉 (河出文庫)

 
悪徳の栄え〈下〉 (河出文庫)

悪徳の栄え〈下〉 (河出文庫)

 

 

 1798年 チャールズ・ブロックデン・ブラウン『ウィーランド、あるいは変身』

 

 1814年 アーデルベルト・フォン・シャミッソー『ペーター・シュミレールの不思議な物語』

影をなくした男 (岩波文庫)

影をなくした男 (岩波文庫)

 

 

 1815年 エルンスト・テオドール・アマデウス・ホフマン『悪魔の霊薬』

ホフマン全集6 悪魔の霊液

ホフマン全集6 悪魔の霊液

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 創土社
  • 発売日: 1993/07/01
  • メディア: オンデマンド (ペーパーバック)
 

 

 1818年 ジェイン・オースティン『ノーサンガー・アベイ』

 メアリー・ウルストン・クラフトシェリー『フランケンシュタイン

ノーサンガー・アビー (ちくま文庫)

ノーサンガー・アビー (ちくま文庫)

 
フランケンシュタイン (新潮文庫)

フランケンシュタイン (新潮文庫)

 

 

 1820年 チャールズ・マチューリン『放浪者メルモス』

 (同年、オノレ・ド・バルザック『ファルテュルヌ』)

新装版   放浪者メルモス

新装版 放浪者メルモス

 

 

 1822年 オノレ・ド・バルザック『百歳の人、あるいは二人のベランゲルド』

百歳の人―魔術師 (バルザック幻想・怪奇小説選集)

百歳の人―魔術師 (バルザック幻想・怪奇小説選集)

 

 

 1837年 プロスペル・メリメ「イールのヴィーナス」

メリメ全集 2 小説 2

メリメ全集 2 小説 2

 

 

 1845年 エドガー・アラン・ポー『短編集』

ポオ小説全集 1 (創元推理文庫 522-1)

ポオ小説全集 1 (創元推理文庫 522-1)

 
ポオ小説全集 2 (創元推理文庫 522-2)

ポオ小説全集 2 (創元推理文庫 522-2)

 
ポオ小説全集 3 (創元推理文庫 522-3)

ポオ小説全集 3 (創元推理文庫 522-3)

 
ポオ小説全集 4 (創元推理文庫 522-4)

ポオ小説全集 4 (創元推理文庫 522-4)

 

 

 1847年 シャーロット・ブロンテジェイン・エア

 エミリー・ジェイン・ブロンテ『ワザリング・ハイツ(嵐が丘)』

嵐が丘 (新潮文庫)

嵐が丘 (新潮文庫)

 
 
ジェイン・エア(上) (岩波文庫)

ジェイン・エア(上) (岩波文庫)

 
ジェイン・エア(下) (岩波文庫)

ジェイン・エア(下) (岩波文庫)

 

 

 1860年 ウィリアム・ウィルキー・コリンズ『白衣の女』

白衣の女 (上) (岩波文庫)

白衣の女 (上) (岩波文庫)

 
白衣の女 (中) (岩波文庫)

白衣の女 (中) (岩波文庫)

 
白衣の女 (下) (岩波文庫)

白衣の女 (下) (岩波文庫)

 

 

 1869年 プロスペル・メリメ「ロキス」

メリメ全集 3 小説3・戯曲

メリメ全集 3 小説3・戯曲