馬上の二人

読書記録。ネタバレ有り。

有栖川有栖『スウェーデン館の謎』

スウェーデン館の謎 (講談社文庫)

スウェーデン館の謎 (講談社文庫)

 

  足跡トリックの作品をいろいろ読んでみようかと考えている。相変わらず普通の場面がダルい。トリックは独創的なのだから、短編のほうが良かったんじゃないかと思う。折れた煙突の処理もあっさりしすぎ。

 離れの小屋には二つの足跡。一つは被害者のものと思われる往路、もう一つは第一発見者の往復路。だが、第一発見者にはアリバイがある。結論としてはカーの『白い僧院の殺人』のトリックの応用だが、泥酔していた人物をあいだに挟むことでなるほどと思わせる処理ができている。このトリックは、体重のために持ち運ぶものを別にすることで意外性のある展開をもたらせる……別種の応用の仕方もありえると思う。